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【特集】 “予防”に軸足 大台町の「いずれ空き家ツアー」

 年々増加を続ける空き家。その数は、全国で約900万戸と過去最多を記録しています。

 そんな中、空き家の利活用などにつなげてもらおうと、三重県大台町で将来的に空き家になる可能性がある物件を巡る「いずれ空き家ツアー」が先月行われました。

 大台町が初めて企画した「いずれ空き家ツアー」。移住先を探す人や空き家の利活用に興味がある人など、県内外から12人が集まりました。

 見学するのは、いまは所有者がいるものの「いずれ」空き家になる可能性がある物件です。

 空き家の発生を抑えるには、「いずれ」のうちに手を打っておくことが大切だといいます。

 大台町生活環境課山口誠さんは「放置すればするほど家の価値が下がって、改修などで余分に費用もかかるのが一つの問題で、空き家になる前に自分の家を今後どうするか、事前に話し合っておくことが重要」と話します。

 はじめに一行が訪れたのは、80代の男性が暮らす山あいの古民家。元々農機具などの鍛冶屋を営んでいたという家の歴史や地域の人とのつながりなどについて話を聞きます。

 ツアー参加者からの「かまどはまだ残っているんですか?」という問いかけに古民家の住人が「それはもうなくなったが、かまどがあった所にストーブを据えて、12月から3月ごろまでじっとしている」と答えると参加者は「めちゃくちゃいいですね」と興味を示します。

 総務省が行った最新の調査では、三重県内には約14万2700軒の空き家があり、そのうち約6割が適正に管理されず、放置されている可能性があるといいます。

 大台町によりますと、町内にある619戸の空き家のうち、半数以上が管理不全になっているということで、空き家になる前の段階から物件の所有者と次の担い手との間で状況を共有し、空き家の発生抑制や利活用につなげたいとしています。

 最後に訪れたのは、長年、木工の仕事をしてきた谷藤重美さんの工房です。

 谷藤さんは、空き家の利活用に取り組む団体の代表も努めていて、ここまで「いずれ空き家」を巡ってきた参加者とツアーについて意見を交わしました。

 ツアー参加者から「気になるのは物件に移りたいタイミングと空き家になるタイミングが合うか」という質問に谷藤さんは「いずれ空き家の問題点は、『いずれ』なんで、明日になるかもしれないし、所有者が死ななかったら空き家にならない、というわけではない。施設へ入るとかもあり得る」と答えます。

 参加者は「空き家バンクはどんな方が物件を使っていたのか全くわからなくて怖いイメージがあったが、実際に物件を使っている方と話すことで、どういった土地なのかや、家に込められた想いを直接伝えていただいて、すごく素敵だなと思った」「話を聞けるのは大事です。実際に住んでいる方ですから、例えばご近所さんになった時に私たちも安心だし、話し相手もできる」と、ツアーの魅力について話していました。

 物件の所有者は「いずれ」空き家になる前に、今の所有者と次の担い手とが互いに想いを伝え合うツアー。大台町から空き家対策の新たな一手が動き出しています。

 この「いずれ空き家ツアー」は2026年度中にも2回目を開催するいうことです。

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