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カモから海苔を守る 三重・鳥羽商船高専の学生チームが開発したシステムに企業評価額1億5千万円

 特集です。海苔養殖をカモによる食害から守る画期的なシステムを開発した学生たちを取材しました。

 企業評価額「1億5000万円」。この評価を受けたのが、三重県鳥羽市にある鳥羽商船高等専門学校の「ezaki-lab(えざきらぼ)」です。

 鳥羽商船高等専門学校の学生チーム「ezaki-lab」は5月、全国の高専生がものづくりの技術やディープラーニングを活用したアイデアで、事業性を競うコンテスト「DCON」に出場しました。

 コンテストで「私たちは海苔養殖の生産者が抱える“カモ食害問題”に革新的なソリューションを提案します」とプレゼンする生徒たち。三重県でも養殖が盛んな「海苔」は国内外で需要が伸びる一方、不作が続き、国内の 生産量は10年で約30億枚も減少しています。


 不作の原因のひとつがカモによる食害です。

 はじめにとれる一番海苔はやわらかく、最も高価なのにカモが一番海苔を好んで食べてしまうそうで、「海苔を食べるカモをどう追い払うか」が課題となっています。

 「ezaki-lab」の学生が地元の伊勢湾や鳥羽磯部漁協の養殖現場に通い、生産者の声を聞いて開発したのが、海苔養殖をカモの食害から守るシステム「めたましーど」です。

 このシステムは、海苔の養殖場を全方位カメラで撮影し、AIを活用して画像からカモを高い精度で識別。音とレーザーでカモを追い払います。
 
 生徒たちはその成果について「カモ検出後、危険を伝える鳴き声で警戒させ、レーザーで確実に追い払います。100回以上の実証実験では、100%カモを追い払うことに成功しています」と発表しました。

 過去最多となる95チームがエントリーした今回のコンテスト。「ezaki-lab」は、予測される経済効果や将来への期待度の高さから、経済産業大臣賞を受賞しました。

 「DCON」での発表を終えた「ezaki-lab」。海苔養殖シーズンの秋には三重県内で実証実験を行い、今後は「めたましーど」の製品化を目指します。


 鳥羽商船高等専門学校ezaki-labの白川琥大さんは「今までのカモ食害だと、定期的に音を鳴らしたり、レーザーを照射するだけでは、カモは学習能力が高いので、慣れてしまって、再度養殖場に来てしまう課題がありました。AIを活用することによって、定期的にではなくて、カモが養殖場に近づいたらレーザーが照射されて、カモに『ここは危険が』と学習させる部分が慣れ対策になっています」と、システムの特徴を話しています。


 同じく、鳥羽商船高等専門学校ezaki-labの北仲一登さんは「現在、三重県でも非常に深刻化しているカモによる、のりの食害問題を、わたしたちが開発した「めたましーど」でカモ食害問題を解決して、今まで以上に、のりの生産量を大幅に増加させるところに貢献していきたい」と今後の展望を話しました。

 「めたましーど」はカモを追い払う「海苔の守り神」となるのか。
 
 地域の海苔養殖現場から期待がかかっています。

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