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音のない世界のテニス「デフテニス」界の女王 三重県鈴鹿市出身の菰方里菜選手 国際大会での優勝を目指して

 今年11月に東京で開催される聴覚に障がいがある人のスポーツの国際大会・「デフリンピック」。この大会で、メダルの獲得が期待される三重県出身の選手を取材しました。

 この春、大学を卒業し、4月から京都の会社で広報として働く菰方里菜さん。広報誌やウェブの記事の作成など、同じ部署の先輩から広報の仕事を教えてもらいます。


 「今まで記事を書くことをしてこなかったので、文章力も必要ですし、すごく難しいですが、この仕事を楽しいとすごく感じているので頑張っていきたい」と仕事の魅力を楽しそうに話してくれた菰方さん。

 実は彼女にはもう1つの顔が・・・それがテニスプレーヤーです。

 鈴鹿市出身で6歳の時にテニスを始め、高校は県内のテニス強豪校、四日市商業高校に進学。全国大会にも出場しました。

 粘り強いフットワークと、左利きを活かしたショットが特徴の菰方選手。現在は女子テニスの強豪、島津製作所で社員選手としてテニスを続けています。

 四日市商業高校出身で先輩の堤さんは「気配りとか礼儀もしっかりしていて後輩だけど信頼している」と話します。

 ただ、菰方さんがプレーするのはテニスだけではありません。

 もう1つの競技が「デフテニス」。聴覚に障がいがある人がプレーする音のない世界のテニスです。

 実は、菰方さんには先天性の聴覚障害があり、普段は補聴器を付けて生活しています。

 中学生の時にデフテニスに出会った菰方さん。デフテニスのルールはテニスとほぼ同じですが、プレーする選手は補聴器を外さなければなりません。

 「最初は感覚が違うと思ったが、練習し、今は不安はない。シングルスはあまり変わらないが、ダブルスはペアとのコミュニケーションが取れないので、ペアとのやり取りは後ろの人が前の人の動きを見て判断する形になる」と補聴器を外してのプレーの難しさを話します。

 菰方さんは、デフテニス界で世界選手権の優勝や全豪オープンの連覇など輝かしい成績を残し、デフテニス界の女王とも呼ばれています。

 「世界選手権で初めて優勝した時は、自分でもちゃんと結果を残すことが出来たんだと思った。1度優勝するとプレッシャーもかかって来るが、なるべく楽しむことを優先しながら次も優勝目指して頑張っていきたい」と意気込みを語ってくれました。

 そんな菰方さんが次に目指すのが、今年11月に初めて日本で開催される、聴覚障がいがある人のためのオリンピック・デフリンピックでの優勝です。

 「デフスポーツ自体、そこまで知っている人がいないという状況でもあるので、デフリンピックがすごく大事な大会になる。東京開催というところでしっかり結果を残していけば、多くの耳に入ると思うし、小さいスポーツをまだしていない子たちにも障がいがあったとしてもスポーツできるよと少しでも広げていけたら」と菰方さんは目を輝かせていました。

 デフリンピックは今年11月15日~26日までの12日間、東京で開催されます。

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