乗り子のムチ使用禁止 改善策とり「上げ馬神事」

一昨年の神事で動物虐待と批判された多度大社(三重県桑名市)の上げ馬神事が、去年と同様、馬が乗り越える壁を撤去するなど大幅な改善策を施して行われました。
多度大社の上げ馬神事は、馬が壁を乗り越えた回数でその年の農作物の出来を占う神事として南北朝時代から続くとされています。
三重県の無形民俗文化財にも指定されている上げ馬神事ですが、2023年、馬1頭が転倒して骨折し殺処分され動物虐待にあたると批判が強まり、去年からさまざまな改善策をとって実施されることになりました。
馬が跳び越えていた2メートルの壁が撤去され、勾配を緩やかにした坂を駆け上がるなどの方法に変更されたことで、去年の神事は馬がけがをすることなく奉納されました。
そして迎えた今年の上げ馬神事。安全面などを考慮して柵が多く立てられたり、人馬が走る道に砂が盛られたりしたほか、乗り子のムチの使用が禁止されました。
初日の4日は、多くの参拝客らが見守る中、陣笠に裃姿の乗り子とともに、10頭の馬が次々と坂に挑戦していました。
訪れた参拝客からは「昭和39年に騎手として乗った。物足りないが時代の流れ」「子どもたちが馬を見ることができてよかった」「問題はあるかもしれないが神事を続けてほしい」などさまざまな声が聞かれました。
馬を駆け上がらせるのは長年、桑名市多度町内の6つの地区でしたが、このうちひとつの地区は担い手不足のため今年も参加を見送ったということです。
御厨総代会の伊藤幹夫代表は「神事の改善がされ、それが伝統継承につながっていく。次の世代の人たちが神事をどうするかを考えてもらうことになる」と話していました。
多度大社の上げ馬神事はきょう5日、本祭が行われます。