「パラスポーツ基金」 誰もが一歩踏み出せる未来へ
パラスポーツで欠かせないのが義足や車いすなどのスポーツ用品。しかし、その費用は高く、選手たちにとって大きな負担となっています。
そんな中、パラリンピックに出場した選手たちが、パラスポーツに挑戦する子どもたちを支援するため基金を立ち上げました。
4月13日に愛知県で行われたパラ陸上の大会。津市出身のパラリンピアン・前川楓選手など三重県出身の選手たちも出場しました。
男子100メートル(T47・上肢切断機能障害・先天性欠損などを含む)に出場した鈴鹿高校1年生の鈴木瀬那さん。約3年前から陸上競技を始めました。
鈴木さんは「自己新記録が出たときに、過去の自分に勝った気がして嬉しい。陸上を始めていい記録が出ると自分に自信が持てるようになった。自己ベストを更新して世界選手権に出られるようになりたい」と陸上競技をすることの楽しさを語ります。
スタート時、体を支える専用の器具を使用し「片手で支えるより安定感が増す。両手に重心をかけられると前傾で前に重心をかけられるようになるので弱点が克服できそう。用具があることによって、自分は周りに支えられているんだという実感がわく」とその重要性を話しました。
スポーツ用の義足や義手、車いすなどは高額で、義足を作るのに30万円から200万円程度。公的な補助はなく、定期的なメンテナンスや買い替えも必要で、選手たちにとって負担が大きいのが現状です。
そんな中、パラスポーツの普及などに取り組む一般社団法人「みえのパラスポーツ」が、多くの子どもたちが競技に取り組める環境を作ろうと、新たに「パラスポーツ基金」を立ち上げました。
立ち上げメンバーの一人が、去年開催されたパリ・パラリンピックで7位入賞を果たした大紀町出身の井谷俊介選手です。
井谷俊介選手は「自分が義足になって陸上競技と出会ったが、義足が高くて買えなかった。走りたいけれど走れないという状況になって困った。そんな時に周りの人たちが助けてくれ、義足を作り、そこから陸上競技に挑戦し、パラリンピックにも出場することができた。今後は自分がしてもらった分を、子どもたちに繋いでいきたいと思った。資金的な部分が壁になってできないという現状を変えたいと思って基金を立ち上げた」とそのおもいを語ります。
誰もが一歩踏み出せる未来へ。子どもたちがパラスポーツに挑戦できる環境を広げていきます。
基金は個人や法人から受け付けており、支援を受けたい子どもたちの募集は6月20日までとなっています。詳しくは、「みえのパラスポーツ」のWebサイトをご覧ください。