陸上に励む子どもたち 練習には父も母も参加 「面白い」指導法から初の全国大会
三重県津市白山町で活動を続ける、ある陸上クラブから、初めて全国大会に出場する選手が誕生しました。
このクラブでは、走るだけではない独特の練習を行っています。今回は練習の取材を通して、選手たちの強さの秘密に迫りました。
「相手を思う気持ち。相手のためにリズムを取ること」と選手に檄(げき)を飛ばす白山陸上クラブの松本恵美子監督。
白山陸上クラブでは、子どもたちだけでなくその家族も練習に参加。親も子も同じ目線で陸上に取り組んでいます。
松本監督は「全員が選手で、全員が監督。全員が参加型」とその狙いを話します。
練習でミスした親を松本監督は容赦なく注意。それを見た子どもは監督のことを「面白い」と話します。
選手にとって監督はどんな存在なのでしょうか?所属選手らは「目標にしているタイムを見抜いてくるし、どんなコンディションかも当ててくるので神さま」「『速く走れとは言わない』と監督に言われた時に『えっ?』と思った。速く走れなくていいから自分のレベルを上げていく。意思を持つ。私も松本監督は神さまだと思う」と尊敬の念を抱きます。
その白山陸上クラブから、全国大会に出場する選手が誕生しました。
小学6年生の瀧本結月さんです。滝本さんは、80メートルハードルと走り高跳び、2種目の記録の合計得点で争うコンバインドAという競技で見事、三重県の頂点に立ち、全国大会の切符をつかみ取りました。
結月さんが「ハードルが好きで得意。走り高跳びも一緒なので自分の思うようにできると楽しい」話すと、父の宏充さんは「元々100メートルをやっていたが東海大会では撃沈した。6年生になってから種目を変え、家の庭でも練習するほどハードルが好き。それが実を結んで本当に良かった。楽しんでおいでと言いたい」と娘にエールを送りました。
結月さんは「お父さんとお母さんが一緒にやってくれるので安心できる。嬉しい」と家族で練習に参加することのありがたさを感じています。
松本監督は「とにかく全国を目指そうと言った1年間だった。彼女に望むことは、自身を超える姿を国立競技場で表現してもらいたい」と期待を込めました。
そして、迎えた全国大会。結月さんは惜しくも上位入賞とはなりませんでしたが、80メートルハードルと走り高跳びで、ともに自己ベストを更新。憧れの舞台で記録を残しました。
大会を終えた結月さんは「80メートルハードルも走り高跳びでも、ベストを出すことができて良かった。中学校でも陸上を続け全国大会に出ることが目標」と次の目標を語りました。