出演:
檀ふみ、ジョン・ギャスライト
河合真如(神宮司庁 広報室長)
半田美永(皇學館大学 文学部教授)ほか

熊野古道とは、紀伊半島の南部にある熊野と、東の伊勢、西の大阪、和歌山および高野山・吉野を結ぶ古い街道の総称である。これらの多くは「紀伊山地の霊場と参詣道」として2004年ユネスコの世界遺産に認定され、今年で登録10周年を迎える。「常若」の伊勢、「よみがえり」の熊野。互いに影響を与えながら共存している二つの聖地は、日本独自の文化を生み出してきた。昨年行われた式年遷宮によって新しく生まれ変わった伊勢の神宮から、熊野、高野山、吉野を結ぶ祈りの道を紐解くシリーズ「熊野古道」。第一話は、神宮〜新たな20年の出発〜。

古代より日本人は大自然に対する崇拝の念を持っていた。その自然信仰・山岳信仰の中から修験道が生まれ、そしてまた仏教が入り込み・・・そうして紀伊半島では、独自の文化が生まれていった。世界の宗教学を専門に研究する宗教人類学者の植島啓司さんは、日本人の精神性の一番核になる部分が紀伊半島に凝縮しているという。それは、熊野の神道、吉野の修験道、高野山の真言密教が「道」で結ばれ、平和的に共存し、日本人のメンタリティを象徴している場所であるからだ。

世界遺産を認定する国連の平和機関「ユネスコ」には「科学や文化の振興を通じて人の心の中に平和の砦を築く」という憲章がある。しかし平和を実現していくためには、世界遺産だけでは足りない。そうして第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんが提案したのが「無形文化遺産」。昨年ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は、自然の尊重という日本人の精神性を体現している。世界遺産が「形あるもの」を保護するならば、無形文化遺産は「形にはあらわれないが重要である」と認められた文化遺産である。しかし、どちらも根底にあるのは「目に見えないもの」を大切にする日本人の精神性があるからにほかならない。

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