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Shall we 裁判チェック! :2007年01月31日 

最近の日本映画は、興行成績も好調ですが、大作、ヒット作となったものは、テレビドラマの劇場版、人気コミックの映画化と、「これぞ映画」と呼べるような骨太の作品が少なかったように思います。
そんな中、「日本映画もなかなかやるじゃないか!」と思わず賛辞をおくりたくなってしまう映画が公開されました。「Shall we ダンス?」から11年ぶりの新作となった周防正行監督の「それでもボクはやっていない」です。
就職試験に臨もうと慣れない満員電車に乗った若い男性が、女子高生に痴漢と間違えられる、「痴漢冤罪」をテーマに、日本の裁判の問題点を描いているもので、映画の大半が、動きのない裁判シーンで構成されています。でも、2時間23分あるこの作品が、あっという間に感じるほど、すっかり、そのストーリー?事件?に見入ってしまいました。
キネマ旬報によると、周防監督は2年間、裁判の取材にあたったそうです。
そして、これまでの作品は「映画になるぞ」といった感覚でつくったそうですが、今回の「それボク」は、「映画にしなくては」という使命感にかられたと話していらっしゃいます。そんな強い思いが、映画からも十分伝わってきました。
周防監督のこれまでのコメディタッチの作品とは違って、「それボク」は、地味だけど、真摯にディテールにこだわってつくられていて、それでいて、「日本の裁判制度は間違っている」みたいな説教臭い味付けにはなっていません。さすがだなぁと思いました。
私も、大学時代から今も取材等で裁判を何度か傍聴しています。たしかに、被告人が手錠と腰紐につながれて入廷してくる姿はショッキングです。そんなとき、事件ごとに、いろんなことを考えさせられます。
大学時代のゼミの先生は、「容疑者は、推定無罪であって、逮捕された時点で、マスコミが断罪してはならないんだ」といったことをよく言っていらっしゃいました。しかし、この「推定無罪」という考え方が、裁判に関わる人たちにすら存在していないことをこの映画は淡々と伝えています。
公権力は、市井の私たちを救ってはくれない。そんな怖さを感じました。

  「それでもボクはやってない」公式サイト

2007年最初に観た1本 :2007年01月24日 

ショッキングでした。悪気はなくても、悪事に加担してしまっているような気分になってしまいました。
今年に入ってから、なかなか映画を観ることができなかったのですが、帰阪しているときに観たのが、「ダーウィンの悪夢」というドキュメンタリー映画です。
アフリカ・タンザニアにあるヴィクトリア湖に解き放たれた「ナイルパーチ」という外来魚が在来種を駆逐して増殖していったことがきっかけとなり、一見、豊かになったように見える湖畔の町に様々な歪みが生じていく様を描いています。
この「ナイルパーチ」という魚、ヨーロッパ諸国のほか、日本では「シロスズキ」として食べられている白身魚で、この魚の加工工場が湖畔につくられ、一大産業として発展し、町は潤っていきます。しかし、この恩恵を受けているのは、ごく一部の人だけで、仕事を求めてやって来た多くの人たちが職にあぶれ、エイズ、薬物に次々と命を奪われていきます。
さらに、衝撃的だったのは、ナイルパーチはとても高価なものなので、現地の人たちの口に入ることは一切なく、加工工場から出された骨と頭だけになった残骸を食べているのですが、その残骸を油で揚げようとしている女性の目が落ちてなくなってしまっているのです。うじ虫だらけの作業場で、女性は、アンモニアガスで目を失ってしまうのです。
さらに、ナイルパーチを空輸するパイロットを相手に、売春婦をしていた女性が、客の一人に殺されてしまいます。
生易しさなど、この映画には全くありません。この作品の中で、印象に残っているのが、売春婦の女性も、一晩1ドルで危険な夜警の仕事をしている男性も、そしてドラッグに手を染めた子どもたちも、口々に「勉強をしたい」と話していたことでした。
こんな悪夢のような現実の中でさえ、向上しようという思いをもっている人たち。そして、何か、いろんなところに歪みが生じ、歯車が狂ってきている、投げやりな日本。2007年最初から強力なパンチを食らった1本です。

  「ダーウィンの悪夢」公式サイト

家族の絆の可能性 :2007年01月18日 

新年最初のワクドキ元気!水曜日に素敵なゲストをお迎えすることができました!一昨年、三重県・伊賀でロケが行われた映画「酒井家のしあわせ」で初メガホンをとった呉美保監督です。
お会いするのは、今回で実は3回目だったのですが、とにもかくにも生放送でお越しいただきたくて、呉監督ご本人にお願いしていたのです。
念願叶って、スタジオに来ていただいて本当によかったと思えたのは、呉監督自身のご家族の話を伺えたこと。思春期に、面と向かって父親に反抗できなかった監督が、父親と自分の茶碗だけは重ねないようにしていたことや、そんなお父さんが、認知症になったお祖父さんを最期まで介護し続け、「ぼけてくれてありがとう」と話した姿に、ようやく父親との心の距離が縮まったというエピソードなどを話してくれました。
ちょっぴり笑えて、しんみりできるようなトークに、今回の作品「酒井家のしあわせ」と空気感が似ているなぁと感じました。
さて、この呉監督、29歳とまだ若いんです。先日お食事をご一緒した際は、毒舌トークを交えながらの人間描写とお話しぶりに私、ただただ爆笑の連続でした。映画監督の皆さんって、お話が面白い方が多いんですよね。
感心したのは、呉監督は、電車などで面白い人を見かけたら、すかさず、携帯の画面メモに書き留めておき、その後、ノートにしたためるんだそうです。
そして、その中から、ピックアップして実際に脚本などで使うと、リストから削除していくとのことでした。何もないところからストーリーを創りあげ、映像にするには、やはりこういった努力をされているんだなぁと納得しました。
とても小柄でまだ若い呉美保監督。小さな体から、すごいエネルギーを感じました。そして、とても芯のある方です。
ユースケ・サンタマリアさん、友近さん出演のちょっぴり変わった家族の映画「酒井家のしあわせ」は、三重県内をはじめ東海地区で絶賛公開中です。
ご当地映画という点だけで応援していません。監督いわく「涙を笑いと笑いでサンドイッチした作品」。まさしくそんな素敵な作品です!

  「酒井家のしあわせ」公式サイト