>>MTVトップへ >>エイガな日々トップへ

« 2006年04月 | | 2006年08月 »

ゆがんだ愛も美しい?! デイジー編 :2006年05月30日 

決して「歪んだ愛」を肯定しているわけではありません。まぁ、こんな形での愛情表現もあるのだろうかと思うような不思議なストーリーでした。画家の卵である女性が、プロの殺し屋に密かに愛され続け、自宅に毎日届けられるのが、この作品のタイトルともなっている「デイジー」。
よくよく考えると、薄気味悪い話です。だって、殺し屋の男は、決して姿は現さないのに、花を毎日送り続けてくるわけですし、ずっと、ある場所から主人公である女の子を見つめ続けているんです。表現はあまりよくありませんが、ストーカーと言ってもいいかもしれません。
しかし、この一風変わったストーリーが、とても美しく描かれているのです。
なぜこの映画が美しいのか。まず、主人公である画家生を演じるのが、『猟奇的な彼女』で一躍有名となった韓国の人気女優チョン・ジヒョン、そんな彼女を愛し続けるプロの殺し屋に、『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソンという美男美女コンビである点。そしてロケ地となっているのが、オランダの美しい街角と広大な田園地帯。さらに、この作品がスタイリッシュな出来栄えとなっているのには、ハリウッドへの進出を決めた今や香港を代表する監督アンドリュー・ラウがメガホンをとったからでしょう!アンドリュー・ラウ監督といえば、私がかつてのめり込んだウォン・カーワァイ監督の『恋する惑星』で撮影に携わっているほか、『古惑仔』シリーズ、『インファナル・アフェア』など、芸術性とエンターテイメント性の両方を兼ね備えた素晴らしい作品を送り続けてきた人です。作品の信頼性の高さに疑う余地はありません。
香港の監督が、韓国のトップスターを揃え、オランダでロケした作品。この3つの要素が、この作品の成功につながっているのだと思います。
歪んではいても、見返りを決して求めないひたむきな愛。『デイジー』は、究極の悲恋モノです。恋愛に限らず、何事においてもついつい損得感情に縛られがちですが、この世の中には、もっと大切なことがあるのかもしれませんね・・・

本物であることの力強さ :2006年05月22日 

テレビジャーナリズムの権化とも呼ぶべき人物を真摯に描いた「グッドナイトグッドラック」。あのジョージー・クルーニーが監督した全編モノクロの骨太な作品です。
1950年代の米ソ冷戦下、アメリカで吹き荒れた「赤狩り=レッド・パージ」。マッカーシーという一人の議員が、根拠もなく、様々な人々を共産主義者と決めつけ、職業や権利を奪っていく恐怖政治の時代が舞台となっています。
そんな恐怖政治が繰り広げられる中、敢然とマッカーシー議員に立ち向かったのが、CBSのキャスター エド・マローという人物です。
スタジオで1ショット、煙草をふかしながら、社会の巨悪を糾弾していくエド・マローのスタイルは、シンプルであるが故に、揺るぎない信念のもと伝えることの力強さ、そして緊張感が伝わってきます。
自分の地位や名誉、はたまた命を奪われかねない。そんな恐怖もあったに違いありません。しかし、ひるむことなく、ひとつずつ事実を積み重ね、真実を伝えようとする姿に心が熱くなりました。
マッカーシーを「善」とした世論に決して惑わされることなく「おかしいことは、おかしい」と感じ、常に、何が真実で本物であるのかを見極める目を持ったエド・マロー。今のこの時代に、この人物を描こうとしたジョージー・クルーニーの思いにも脱帽するばかりです。
デジタル放送時代を迎え、コンテンツを増やしていくことが急務となっている今のテレビ業界ですが、50年以上前のテレビマンに学ぶべきことはたくさんあるように感じました。

ほんわか、ゆるーい心地よし :2006年05月17日 

「ほんわか、ゆるーい心地よし」
この言葉がぴったりの映画に出会いました!「かもめ食堂」という作品です。
群ようこさん原作で、荻上直子さんという女性監督が手掛けた映画です。
どういうわけかフィンランドで、おにぎりをメインディッシュとした日本食のレストランを経営する日本人女性が主人公です。その食堂の女性主人・サチコに小林聡美さん、さらに、食堂にやって来るワケありな人々に、片桐はいりさん、もたいまさこさんという個性派が揃っています。
現地・フィンランドのお客さんたちも、ちょっとワケありな人たちばかりなんですが、みんなが「かもめ食堂」で出される食事や、その空間に癒されていくんです。
誰もが、小さい悲しみを持っていて、仲間を求めている。作品中に、「明日で世界が滅亡するとしたら、何をしたい?」という台詞が出てくるんです。これまで、そんなこと考えたことなかったんですけど、サチコは、あっさり「大好きな人たちと、美味しいものを食べる」と答えています。私も、一人でいるよりは、誰かと美味しい肴とお酒でも味わっていたいなぁと思います。
あと、印象に残った台詞は、「人は常に変わっていくものなんだ」という言葉。
だからこそ、別れもあるけど、出会いもある。そんなことを、ゆったりとした時間の流れの中で、感じさせてくれます。
それに、かもめ食堂で出されるメニューが、これまた素敵です。日本のソウルフードとして、おかか、梅、鮭のおにぎり、肉じゃがに、豚のしょうが焼き、シナモンロールと、素朴だけど、とっても美味しそうなんですよ。私も、久々に、おにぎり作ってしまいました!
終始、笑顔で観ていられる極上の癒し映画です。皆さんも、ぜひ、「かもめ食堂」にお越しください。